研究室運営についてのFAQ

ここでは研究室への参加を検討するうえで参考になりそうな研究室運営に関するよくある質問とその回答を示します。実際に見学に来られた方から頂いた質問をもとにしております。

Q: 学会費や参加費、出張費、研究に必要なIT機器購入費は誰が出しますか?

A: ラボの研究費からすべて支払われます。個人が代表の研究費をお持ちの場合(科研費、さきがけ、基礎特研、学振など)は希望に応じてラボで支払います。私費で購入したIT機器の持ち込みはPIの許可が必要です。研究に関わる経費で個人が私費で負担することはありません。

Q: 研究の進捗管理はどのように行いますか?

A: 個人研究やプロジェクト研究ごとに、関連するメンバーが集まり、週1から月1回の進捗会議を行います。これをプロジェクトミーティングと呼びます。だいたい1時間から2時間程度です。最新の生データや図などを持ち寄りデータを解釈したり、研究の方針などを議論します。学生やインターンの場合は週1程度1-on-1のミーティングをすることが多いです。また普段から進捗などをslackなどでリアルタイムに共有することを推奨しています。

Q: ラボノート管理や生データの取り扱い、研究倫理教育はどのようにしていますか?

ラボノートはどのようなメディアで書いても構いません。ただしラボノートは毎月末にPDFに出力してファイルサーバに置いてもらいます。進捗報告資料や生データなどもファイルサーバに保存します。年1回の契約更改の面談と論文投稿前に生データの有無、図との対応などを確認します。論文は投稿前に盗用剽窃チェックツールでの確認を義務付けられています。e-learningでの研究倫理教育の受講を義務付けています。

Q: ラボの定例ミーティングはどのようなものがありますか?

A: プロジェクトミーティングと事務連絡のための運営会議(隔週金曜日10:00-10:30)、ラボ全員に研究紹介をするイベント (隔週金曜10:30-12:00)があります。年1, 2回全員がプレゼンするProfesというイベントがあります。ウェット実験をする人は実験室運営のためのミーティングが週1回程度あります。

ちなみに、運営に関わる研究スタッフと事務スタッフのみが参加する予算管理ミーティング(月1)、各研究拠点のリーダーのみが運営を議論する運営会議(隔週)で実施されています。これらの議論は運営会議にフィードバックされます。

Q: wet と dry は両方やらないとなりませんか?

A: 各自の希望を尊重します。ただし、wetだけで論文は書けないので初歩的なデータ解析が自身で実施できるようサポートします。ドライ研究者や研究支援者と協力してもらう場合もあります。両方実践する人も歓迎しますし、wetからdryへ、dryからwetへ転向するひともサポートします。

Q: 論文は誰が書きますか?

はじめに責任著者と一緒に論文のアウトラインを作成します。次に第一著者がドラフトを書きます。複数のメンバーで研究を分担した場合は第一著者と責任著者で議論した後、担当メンバーに執筆を一部依頼します。投稿前は英文校正を専門の会社に依頼します。また剽窃チェックツールの実行や投稿前の生データ保存確認などが義務付けられています。

Q: 研究テーマはどのように決めますか?

A: 個人研究型とプロジェクト型があります。個人研究の場合は当事者が発想したテーマを中心に研究を進めます。プロジェクト型は外部資金や理研内部競争的資金などの研究テーマの周辺で研究テーマを設定します。

いずれの場合も調査研究やパイロット実験の後、研究の方向性・テーマを決めます。その後、論文のアウトラインを執筆し、それに則って実験を進めます。研究結果に応じて研究の方向性を修正しながら、論文アウトラインを更新します。研究員、学生、インターンがそれぞれ第一著者で論文がかけるようなテーマ設定をします。

研究テーマの設定においてもっとも重視しているのは本人の興味です。これがなければ最後までやり遂げることは困難になります。ですので自身の興味を表現し関連分野について勉強し研究する仲間と興味を共有することができる方が我々のラボに向いていると思います。他人にテーマを与えられることを重視する方には向いていません。

Q: 1細胞ゲノム科学以外のテーマでもよいですか?

A: 基本的にはゲノム科学とゲノムインフォマティクスに関連する分野であれば、1細胞に限らず自由に研究テーマを設定できます。ラボの予算や装置は限られていますのでその範囲で可能を事前に相談することになります。また科学的価値についても議論します。プロジェクト型の場合はプロジェクトの趣旨の範囲に限定されます。また我々は特定の生命現象や疾患を対象とした研究ではなく、技術開発を中心としたラボですので、そのようなテーマのほうが成果が出やすい傾向にあります。そのため特定の生命現象や疾患を対象とした研究テーマを選ぶ場合は、我々オリジナルの技術を使わないと解けそうもないこと、特定の生命現象や疾患に深い知識を自分で学ぶこと(あるいは指導してもらえるもうひとりのPIを見つけられること)を条件にしています。

Q: どのような生物現象・疾患をテーマに研究していますか?

我々のラボでは特定の生物学的な現象や疾患を標的とはしていません。様々な生命現象や疾患に応用できるゲノム科学実験・データ解析技術の開発を目標としています。ただしどのような技術でも特定の生物学的な現象での実証が必要になります。また開発した技術の利点が活きるような生命現象への応用研究も実施しています。発生学、再生医療、がん、精神疾患、老化など幅広い分野への実証・応用研究を実施しています。実証・応用研究のテーマとなる現象や疾患は、技術開発者、共同研究者などと議論して決定しています。ただし、技術開発要素のない応用研究のみを目標として研究は、応用分野の深い知識が必要になります。我々のラボではそのような研究を行うことはお勧めてしていません。仮に行うとしても、研究を主体的に行う人が応用分野の専門知識を持つこと、あるいは指導してもらえるもうひとりのPIを見つけられることが条件となります。

Q: 在宅勤務は可能ですか?

A: 2022月4月現在は可能です。ドライ研究者は在宅を推奨しています。その際はオンライン会議が可能なレベルのネットワーク環境を私費で用意してください。実験研究者はデスクワークのみの日は在宅勤務可能です。

Q: インターン終了後も一緒に研究できますか?

A: インターンに関わる内容で論文投稿を目指す人とその後も研究を継続する場合もあります。インターンが終了しても、大学の許可があれば研修生(無給)制度を利用すると、ラボのメンバーでいることができます。

Q: 企業の研究者ですが、ラボに所属して研究の指導や共同研究を実施できますか?

A: 企業の許可があれば、客員研究員制度で可能になります。研究に関わる費用や契約、知財の扱いなどはケースごとに相談できます。

Q: 社会人ドクターとして所属することは可能ですか?

A: 可能です。2022年度までに3名の受け入れ実績があります。

Q: 論文を出すタイミングはいつですか? 一流誌でなければ論文は出さない方針ですか?

A: 任期やキャリアに合わせてベストなタイミングで論文を出すことを優先します。一流誌でないとだめというわけではありません。もちろん、可能な限りIFの高い論文誌に採択されることは目指しますが、どちらかというと研究の質や完成度、再現性、出版することそのものを重視します。

Q: 勤務スタイルはどのようになっていますか? コアタイムはありますか?

A: インターンは自分で事前に設定した時間帯や曜日に勤務します。研究員や研究支援者で裁量労働制の方は自由に勤務時間を決定できます。ただしウェット実験をする人は安全性のために日中に勤務してもらうようお願いしています。ドライの場合も安全性や健康面から夜間の勤務は推奨しません。

生産性よく楽しく研究を進めるのが重要です。1日の研究時間よりも研究人生を長くしたほうが最終的にたくさんの時間を利用でき成果もでると考えています。その観点から長時間労働や徹夜は推奨しません。研究進捗・成果とその過程で評価され研究時間の長さではまったく評価されません。理研は土日は休日になります。研究上必要でない休日出勤は認めていません。許可される例としては細胞培養や一時的な生物試料のサンプリング実験などです。

Q: 研究員、テクニカルスタッフ、学生、インターンなどを募集していますか?

A: そのときの予算状況に応じますが常に募集しております。受け入れられる人数に限りがありますのでお問い合わせください。採用のプロセスは以下をご覧ください。https://bit.riken.jp/ja/join/

Q: どのような知識・スキルが必要ですか?

A: 基本的にはどのようなスキルでも、それに応じた研究テーマを設定します。またスキルや知識をつけながら研究を進めます。研究に必要となるスキルや知識については、「ゲノム科学研究に必要とされる事前知識」をご覧ください。研究を楽しめるか、生産性が挙がるかはスキルや知識にもよりますが、研究を最後まで続けるためのモチベーションのコントロールが自分でうまくできる人という感じがします。

Q: ラボはどのようにチーム分けされていますか? チーム間で競争はありますか?

我々のラボでは、実験技術に関連して大きく3つ程度のチームに分かれていることが多いです。各チームは互いに助け合う関係にあり競争関係はまったくありません。チーム内も同様です。各チームは別々の予算を元にしていますし、実験機器や部屋のリソースを一部共有していますが競合する場面はほぼありません。研究スタッフは自分が第一著者になるテーマを持っており、ほかの人とかぶったテーマ設定はされていません。各チームの指示系統ははっきりしていますが、チーム間で自由に議論・質問などが自然とされています。各チームをマネジメントしているシニアな研究員とPIはもともと同じ研究室や研究センターの同僚であり、関係が非常に良好でコミュニケーションもよく取れています。理研と大学のラボはCOIに配慮しつつ連携が取れています。各組織・チームのシニア研究者とPIは毎週1-2時間程度、運営についてミーティングを持ち円滑で公平な運営に努めています。

ドライの研究はチームで実施することは少ないです。各自が独立したテーマを持って研究しています。ソフトウェアの実装・維持や計算環境の整備・維持などはテクニカルスタッフとチームを組んで実施しています。

各チームは月1日以上の進捗ミーティングがあります。また各チームが議論・連絡するslackチャンネルで密にコミュニケーションしています。

Q: PIへの敬称は先生ですか? さんですか? メンバー間の敬称は?

PIや学生、研究スタッフ、アシスタントすべてに対して「さん」を推奨していますが特にこだわりはありません。世間には、物理や情報系、生物系では「さん」が、医学、工学系では「先生」を使うなどの慣習があり、それを守らないと怒る方もいるようです。そういう人がいることを知っておくことは必要です。しかし、我々のラボでは敬称にこだわらないようにお願いしています。呼び方ではなく普段の接し方で互いが尊重し合っていることがわかれば大丈夫です。敬称も相手を尊重する態度の表現のひとつかもしれませんが、敬称の好みの差は他人からはわかりませんので良い方法とは考えていません。そもそも他人に伝えていない自分独自のルールで不機嫌になるという態度は良いことだとは感じません。もし希望があるならそのように伝えればよいのです。ほかのラボとコミュニケーションする際は相手の慣習に合わせて呼ぶことを推奨しています。ラボ内では本人の希望のもと周りからの提案で、親しみと尊敬を込めて愛称で呼ばれている場合もあります。

Q: どのような人が研究室と相性がよいですか?

A: 研究自体が楽しいと思えるひとがよいと思います。研究していると楽しみだけでなく失敗や苦しいと感じることもあります。それでも続けられる力となるモチベーションがあり、それをコントロールできることが重要だと思います。

定量的なデータと言語によるコミュニケーションを重視します。非言語的なコミュニケーションは得意としません。データにしろ感情にしろなるべく言葉にして共有してほしいと感じます。職位は上下関係でなくチームの役割を示していると考えています。常に互いの立場を尊重し、対等でフランクなコミュニケーションを取れるひとが受け入れられやすいと思います。職位によって態度を変えるタイプの方は馴染めないと思います。

研究効率化のため様々なICTツールを使います。このようなツールの利用に抵抗がないほうが馴染みやすいと思います。研究拠点が3つに分かれているためオンラインでのコミュニケーションが多いです。それぞれのキャラクターやスキル、やり方、感じ方に合わせてマネジメントする傾向が強いです。そのため自分から相談や連絡、報告などがタイプのほうが、楽しく生産的な研究ができている傾向があります。

研究の生産性と再現性を重視します。結果が伴わなければ楽しい研究を継続できません。また再現性がなければ再び成果を得ることができません。そのため結果のみならずプロセスも同時に重視します。

勉強が得意でも研究が得意とは限りません。未知の問題を発見したり解決したりするのが研究です。ここでは既存の知識を学び吸収することを勉強と呼んでいます。既知の知識の吸収は研究を有利にすすめるためには必要です。しかし、研究には未解決の問題に向き合うスキルがさらに必要になります。この違いをよくわかっている人が向いていると思いますし、わかりにくい人はそのスキルを学ぶか、ほかの業種に進むことをおすすめします。

Q. どのようなスキルの人材を求めていますか?

理研は研究機関であり教育機関ではありません。そのためスタッフには研究成果を出すことが求められます。そのためスタッフには研究室や研究所の援助のもと、主体的に研究・研究支援が実施できる人材が求められます。理研や我々のラボに「何かを学びに行きたい」というよりは「自分のスキルやアイディアを活かして新しい研究を実施して成果を出したい」という方を求めています。そのためラボにないスキルやアイディアを持っている人が求められます。学生やインターンの場合はその限りではありません。

Q: テクニカルスタッフのキャリアパスについてどのように考えていますか?

A: テクニカルスタッフは研究支援をする職業です。そのために必要なのは高度な技術力と被支援者とのスムーズなコミュニケーション能力の2つが必須です。そのために普段の技術支援だけでなく、技術向上のための活動をサポートします。具体的な新しい技術習得のために研究費や時間を割きます。また学会や勉強会への参加・発表を推奨しています。また被支援者である研究員とのコミュニケーションを効率化するためのITツールの使い方、ラボノートの付け方、データの整理方法、データ解析技術、進捗報告の仕方などを定型化し、指導しています。給与もスキルに応じて研究員より高い場合もあります。これらの活動の結果、無期雇用に転換された方(3名)や民間企業へステップアップ(2名)、ほかの研究機関への異動(1名)、他業種への転職(1名)をされたかたがいます (2022年現在)。

Q: ラボには研究以外のレクリエーションの公式イベントはありますか?

A: ありません。ラボ旅行や季節のイベント(クリスマス、ハロウィン、バレンタイン、お花見)、誕生会、定期的な飲み会などのレクリエーションのイベントを行っている研究室もありますが、我々のラボではそのような強制参加の公式イベントはまったくありません。各メンバーが気の合うメンバーのみを誘って行ってもらうことはあります。ラボのslackでみなさんにお誘いする方もいます。このようなイベントは任意参加の自主的なイベントになっており、自由に行ってもらっています。参加しないことが不利益になることはまったくありません。年1回のラボ全員が進捗情報を共有するイベント後に懇親会程度のイベントが有志により設定される場合もありますが参加は任意になります。

Q: ラボ運営に関する当番はありますか?

A: 多少あります。実験をする人はみんなで実験室を簡単に掃除するイベントが週1回程度行われています。居室の掃除は各自の身の回りを各自が必要と思うタイミングで掃除してもらっています。スタッフの場合は機器のメンテナンスや試薬管理などを手伝ってもらう場合もあります。スタッフは事務連絡会のファシリテーターを年数回の担当することになります。学生さんやインターンの方は身の回りの掃除以外に当番のようなものは基本的にはありません。

Q: なぜインターンや学生を募集しているのですか? 研究室にとってどのような利があるのでしょうか?

理研は国立研究所であり教育機関ではありませんが、我々のラボでは多くの学生を受け入れています。我々が研究成果が求められるなか時間やリソースを割いてインターンを受け入れる理由は以下の2点です。

長期的な視点: ゲノム科学やバイオインフォマティクスの研究人口の拡大を目的としています。国研として科学研究を通じた国際競争力の向上が求められますが、そのためには多く研究者を育成することは責務だと研究室としては考えています。

PI自身も学生の時期に理研で研究をした経験があります。当時のスタッフの方にとてもお世話になり最先端の研究の一旦を垣間見れたことが現在の道に進むきっかけになりました。次の世代を担う方々に同様の体験して頂けるよう機会を作るのが使命だと考えています。また自身が専門とする分野に人材が増えて分野が盛り上がってほしいというモチベーションもあります。

短期的な視点: 我々のラボに来られるインターンの方は長期の場合(3年程度)はほとんどの方が論文を執筆し学位を取得後、産学官、国内外で研究職を務めています。なかには研究室を持ち独立された方もいます。論文を書いて頂けるのは直接的なメリットになります。短期のインターン(数ヶ月)で来られる場合はほとんどの場合論文までは到達しません。たとえ、論文にならない仕事であっても研究には必要が作業が多くあります。インターンを受け入れることで研究生産性の向上に貢献して頂くことが可能です。例えば、研究を始める際に、どの方向にどのような研究を進めるべきなのかなどを検討する研究デザインのステップが必須です。そのためにはサーベイやプロトタイピングなど事前の検討が必要になります。インターンの方に、期間内に可能なサーベイやプロトタイピングなどを担って頂くことで、ひとまりの本物の研究体験を提供しつつ、研究室としては方向性を定める重要な手がかりを得ることになります。

Q: インターンではこれまでどのようなテーマがありましたか?

長期と短期のテーマがあります。長期の方のほとんどが論文を執筆しています。短期の方は研究プロジェクトの一部のタスクを切り出して研究体験をして頂いています。詳細については面談の際に聞いてください。

Q: インターンのキャリアパスはどのようになっていますか?

長期の学生は近隣の学生から指導委託の形で参加されるケースがほとんどです。修士や博士課程のほとんどを理研で過ごし投稿論文と学位論文を執筆します。卒業後の進路は製薬企業の研究職や大学助教、講師、独立准教授などがありました。

短期のインターンは海外留学の準備期間、あるいは、海外大学・大学院に通う学生の長期休暇が多いです。これらの方のほとんどは海外の研究機関の研究職、海外大学院への進学をしています。特に海外大学院への進学にはインターンシップ経験、実務経験が問われる場合が多く、インターン先からの推薦状が必要となる場合もあります。そのような方々に戦略的にインターンシップ経験を取ってもらえるよう相談し、テーマ設定から工夫するようにしています。

Q: 相談するのが苦手です。いつ誰にどのようなタイミングでどのように相談すればよいですか?

A: まずいつでもどのような方法、タイミングでも相談は歓迎しています。問題をひとりで抱えるよりも相談するほうが解決の近道になることが多いためです。相談するには相談の仕方と受け入れる側にそれぞれ課題があります。相談する側から考えると、いつどこでどのように誰にことが気になってなかなか相談できない場合があります。また相談する内容は詳細なほうがよいのか、整理していったほうがよいのか、など話題の粒度にも迷います。そのような迷いを抱えてぐるぐると同じ思考やトライを繰り返す段階が楽しい研究のなかでも必ずやってきます。そのため相談の仕方やタイミングがわからないときには、準備なしに現状をただ吐き出すという場を設定することを提案しています。またタイミングは理由によらず「手が止まったとき」とするとよいです。相談相手がわからないときはまずはPIに気軽にどうぞ。PIへの相談することを遠慮したくなるかもしれませんが、相談に乗るは何をおいても行うべきPIの仕事なので遠慮する必要がありません。PIは共通機器だと思って存分に利用してください。

聞き手としてはslackや定例ミーティング、Zoom、面談など様々な手段を用意しています。そこでひとまず話し手の現状の吐き出しのみを目的に面談をします。そのあと体調などに合わせて行動可能な具体的なアクションを相談しながら決めて現状の打開を試みます。聞き手側も研究や私生活で悩んでいて聞ける体制ではない場合もあるかもしれません。そのような場合は聞ける体制が整っているであろう時期に話ができるようスケジュールをアレンジします。

Q: 研究室の運営に問題があると感じた場合はどうすればよいですか?

A: 週1の運営会議で相談したことがないか毎回聞いています。その場で相談しにくい場合はスケジューリングだけして後日相談することにしています。また、PIやラボ内外の相談しやすい方に個別に相談してみてください。それでも解決しない場合は、入所の際に理研の健康相談やコンプライアンス相談窓口を案内していますので、そちらに相談してみてください。PIに許可は必要ありませんし相談を妨げません。ただしSNSに投稿するのは問題の解決につながらない場合が多いのであまり推奨はしません。

研究室はある程度閉鎖的になりがちでローカルルールがあったりします。そのため所属している研究室が正常なのかを判断するには、ラボの外にメンターとなってくれる同業者や友人、家族が必要になります。そのようなつながりを作るようことを推奨しています。繋がりをつくるために学会や勉強会への参加を推奨しています。また家庭環境に影響のないように研究できる環境を整える努力をしています。さらに、ラボでは暗黙のルールがなくなるよう、なるべくルールやノウハウを文章化して開示する努力はしています。ラボメンバーだけが閲覧できるウェブサイトに書いてあります。これらは固定したものではなくメンバーの意見でよりよく改善する努力をしていきたいと思います。