About

Mission

理化学研究所 生命機能科学研究センター バイオインフォマティクス研究開発ユニットは、生命の機能情報を読み書きする実験技術や、それらのデータを解析する情報科学技術の研究開発を行っています。。特に1細胞レベルのゲノム科学技術の開発を行い、理研内外に技術を提供します。

1. オミックスの新しいデータ解析手法、実験手法の研究開発
DNAシーケンサーで、DNA、RNA転写量、エピジェネティクスなど様々な生命情報を得られるようになってきました。そこで、これらのデータを定量的に統合して理解するデータ解析手法やソフトウェアの研究開発を行います。また、バイオインフォマティクスから着想した生命科学研究を行います。さらに、新しいDNAシーケンス実験技術を開発し、まだ誰もゲノムワイドに測れていない生命現象の定量を目指します。

2. 理研内外での実験生物学者との共同研究
理研各所のバイオインフォマティクス研究者やシーケンス施設と連携し、理研内外の実験生物学者とデータ解析を通じた、対等な共同研究を進めます。また、実験生物学者のデータ解析リテラシーを向上するため、バイオインフォマティクスの講習会を開催し、講義資料の公開も行います。さらに、各理研センターのシーケンス施設、バイオインフォマティクス研究者など共同で、理研共通のシーケンスデータ解析プラットフォームを構築を目指します。

注: 我々の実働が伴う場合は、研究的要素のあるテーマでの共同研究であることが前提となります。単なるサービス業務は行いませんが、適切な業者や共同研究者などをご紹介できます。また、我々の実働を伴なわないデータ解析やシーケンス実験の相談・質問は随時受け付けております。ラボ滞在型でのバイオインフォマティクス教育も行っています。お気軽にご連絡ください。

注2: 2018年度はラボの移動作業のため、共同研究を受け付けておりません。


Themes

1. 1細胞オミックス測定技術の研究開発
1細胞オミックス技術開発とそれに伴うデータ解析技術を開発しています。我々は再現性や感度が非常に高い1細胞RNA-Seq法 Quartz-Seq や高スループット型Quartz-Seq2の開発に成功しました。さらに、非ポリAやRNAの完全長を捉えられる1細胞RNA-seq法RamDA-seqの開発に成功しました。遺伝子群の機能を生物学用語集(MeSH)と統計解析によって推定するMeSHR、時系列1細胞RNA-seqデータから転写制御ネットワークを予測するSCODEなど、DNAシーケンスデータの解析ツールを開発しています。詳細は、ProtocolsSoftware & Databases をご覧ください。

1.1. 1細胞オミックス測定技術の再生医療への応用
再生医療で使われる細胞の有効性・安全性を試験する方法を開発し、再生医療の早期実現を目指しています。iPS/ES細胞から作成した分化細胞は、均一な培養条件の同じコロニーであっても、細胞状態が異なる細胞が含まれます。この不均質性が、どの程度、細胞移植に影響があるか、理解されていません。細胞状態の不均質性を認識し制御するために、まず、細胞集団が持つ不均質性を定量する必要があります。そのためには、細胞状態を、細胞集団の平均値でなく、1細胞ごとに測定しなければなりません。そこで我々は、分化細胞集団の不均質性を1細胞・全遺伝子解像度で高速に測定する技術を開発しています。1細胞発現量解析を精緻化し、そのデータから不均質性を判定するデータ解析手法の開発を目指しています。このプロジェクトは、再生医療実現拠点ネットワークプログラム 技術開発個別課題「iPS・分化細胞集団の不均質性を1細胞・全遺伝子解像度で高速に測定する技術の開発」 (代表: 二階堂愛)によってサポートされています。

1.2. 1細胞生物学 – 生命現象を個々の細胞から理解する
細胞集団がどのように情報処理をして生命現象を成立させているかを1細胞から調べます。これまでの生物学では、細胞集団の平均値から生命現象を理解していました。これは物理学で言う熱力学的なアプローチです。

一方、生命現象は、個々の細胞の振る舞いの積み重ねで実現しています。個々の細胞は同じ細胞種であっても細胞集団のなかでゆらぎを持っています。我々は、細胞の個々の振る舞いを調べることで、これまで説明できなかったマクロな現象の成り立ちを説明することを目指しています。これは原子論・量子論的なアプローチと言えるでしょう。

我々はこのような立場から、自らが開発したシーケンス技術を応用したり、微細加工・マイクロ流体技術などを導入することで、1細胞がどのように外界の情報を処理し、集団として適切な応答を達成しているか、を理解することを目指しています。

H28年10月から、JST CREST「統合1細胞解析のための革新的技術基盤: 臓器・組織内未知細胞の命運・機能の1細胞オミクス同時計測 (代表: 二階堂愛)」が開始しました。臓器・組織は、そこに含まれる幹細胞の増殖や死、分化により、細胞が置き換わり、機能が維持されます。しかし、臓器によっては、幹細胞の発見や機能解析が進んでいません。そこで、臓器・組織の細胞へ1細胞ずつ異なる目印をつけて、その時空間ダイナミクスや命運を追跡しつつ、同時に細胞機能を計測する技術を開発します。これにより様々な臓器から未知幹細胞を同定し、その機能を知ることで、健康な臓器を誰もが維持できる社会を目指します。

2. エピゲノムシーケンス法のデータ解析と実験技術の開発
生命現象はゲノムの持つ情報のみで決定されません。生命の情報はDNA配列だけでなく、DNAやヒストンの化学的修飾に書き込まれます。その結果、クロマチン構造が変化し遺伝子発現量を調節する転写因子結合ネットワークが変化します。このようなエピゲノム変化をシーケンスによって捉える実験技術の開発を行っています。さらにエピゲノムが遺伝子発現量に及ぼす影響を数理科学によってモデル化し、予測・制御を行うバイオインフォマティクス手法の開発を行っています。また大量のエピゲノムデータから情報を引き出す機械学習アルゴリズムの開発も行っています。

3. 再現性のあるバイオインフォマティクス解析環境の構築
バイオインフォマティクス解析環境が整った Linux distribution である Bayes Linuxを開発しています。またそれを実行できるクラウドコンピュータの導入を行っています。

シーケンスデータ解析は数十のプログラム、データベースを組み合わせたデータ解析パイプラインを必要とします。一方、学術論文では紙面が限られているため、解析方法の概要しか記載されていません。このため、論文の情報からバイオインフォマティクス解析を再現することは、一部の専門家を除いて、とても困難です。また、各々の研究者が、たくさんのプログラムやデータベースを維持管理することは、貴重な研究時間を減らすことになります。

そこで、DevOps 技術を利用し、あらゆるバイオインフォマティクス解析環境が構築されたLinuxを開発しています。これらの環境設定はプログラミングコードとしてバージョン管理、テストされており、解析環境を再現よく簡便に構築・管理・利用できます。また、このLinuxを数クリックで自由に利用できるようクラウドコンピューティングを利用して、計算機ごと提供します。これらの仕組みを利用することで、理研のシーケンス施設にサンプルを送った後、生データだけでなく、解析済みデータが閲覧・操作できるユーザ専用のコンピュータと、そのウェブサイトのアドレスがユーザに納品されるシステムを構築します。

現在は、ラボのPCクラスターや簡単なパソコンを入口にして、パブリッククラウド上に仮想的なスーパーコンピュータを構築するシステムを開発しています。このシステムが完成すれば、巨大で複雑なデータの解析がいつでもどこでも低価格に実施できるようになります。

4. バイオインフォマティクスリテラシー向上を目指す外部研究者・インターンの受入
理研内外の研究者が、自分のデータや研究テーマを持って、我々のラボに数週間から数ヶ月滞在しながら、バイオインフォマティクス解析を実施する、という活動を行っています。また、学生さんをインターンとして雇用し、自身や我々の研究テーマを実施してもらう、という活動も行っています。インターンの場合は、理研の研修生にも登録しますので、我々の計算環境に大学からアクセスすることも可能です。これまで、6名の学生を受け入れた実績があります。

5. 研究生産性向上のための情報技術の開発
生物学や計算機実験の効率的な実施により、研究生産性を向上させる情報技術を開発します。少ないリソースで最大の研究成果を挙げるために、情報技術を活用して、ラボの運営や研究活動の効率化を図ります。これまで、IoTやチャットボットを利用した実験室環境や計算機環境のモニタリングのシステムを構築してきました。また、ARによる巨大で複雑なデータ可視化、動的レポートシステムによる予算管理、知識共有ツールによる実験・計算ノウハウの暗黙知の顕在化、スマートスピーカーとクラウド、IoT装置の連携による実験室間の情報共有・アラートシステムの構築、issue tracking systemによるラボ経営の効率化などの開発を実施しています。


Resources

Computer

ラボが占有するPCクラスタがあります。ジョブスケジューラで計算資源を効率的に分けあいながら計算できます。さらにdockerコンテナをジョブとして投入できる新しい科学計算用PCクラスタとして構築されています。シーケンス解析に必須な有償の転写因子データベースや、商用のシーケンスデータ解析ソフトウェアなども用意してあります。科学計算に利用できるプライベードクラウドシステム(OpenStack+Xen, Docker)が利用できます。さらに、パブリッククラウドの利用実験も行っています。

Communication

ラボ内では、オフラインでのコミュニケーションのみならず、オンラインでの効率的で生産的なコミュニケーションを促するため、メールではなく、チャットシステム slack でのコミュニケーションを推奨しています。また、タスク管理ツール(Redmine, Backlog)、クラウド型ファイル共有サービス、ソースコード管理 (github)、ドキュメント共有 (Qiita:Team, MindMeister)、ラボノートのタイムスタンプ付き電子署名などを導入し、各メンバーが自由にクリエイティビティを発揮できる、近代的で効率的なラボマネジメントをしています。

居室には、メンバー同士のコミュニケーションが捗るよう、広めの交流スペースを用意しています。巨大なホワイトボードや、コーヒーメーカーや冷蔵庫、電子レンジなどの設備が充実しています。メンバー間でのミーティングがいつでもできるよう巨大なホワイトボードとディスプレイが用意された会議室が用意されています。PI室の扉は常に開かれており、対面やslack経由でいつでも相談ができる環境を用意しています。

予算の許す限り、外部発表や学会参加に制限はかけていません。研究成果が、PIのみを通してではなく、個々人のメンバーの顔とともに、世に知られるよう、サポートします。

研究に関連する書籍やソフトウェア購入についても、予算が許す限り、特に制限をかけておらず、各自が自由に調達できます。

我々のラボ専任のアシスタントがおり、事務作業をサポートしてくれます。研究員やテクニカルスタッフの研究時間が最大になるように工夫しています。将来の研究キャリアのために、論文執筆はもとより、外部資金やフェローシップ獲得のサポートも本人の希望に応じて行っています。

Experimental Biology

情報基盤センターの向い側には、理化学研究所 脳科学総合研究センター 研究基盤センター (RRC)があります。当ユニットは、RIKEN BRC RRCと連携し、ここに導入されているDNAシーケンサー illumina HiSeq, MiSeq などを利用しています。また横浜理研CLST GeNAS, GRASなどのシーケンス施設ともデータ解析やシーケンス実験で連携しています。

我々の実験室には、細胞培養設備、1細胞採取装置(FACS, Cell Picker)、RNA/DNA測定・増幅装置、DNAシーケンスライブラリ作製機器、微量分注ロボット、次世代DNAシーケンサー (illumina NextSeq 500), マイクロ流体装置などが配備されています。

Space

情報基盤棟 (居室・会議室)

  • 居室・会議室: 312 (16.75 x 10.0 m)

工学実験棟 (実験室)

  • 101 (控室, 5.4 x 6.3 m)
  • 103 (工作室・暗室, 5.4 x 6.3 m)
  • 110 (RNA実験室, 6.0 x 8.0 m)
  • 113 (DNA実験室, 5.4 x 6.3 m)
  • 213 (測定機器室, 5.4 x 6.3 m)

場所は Contact & Access をご覧ください。


Funding

文部科学省

科学技術振興機構 (JST)

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)

History

  • 2013年4月: 理化学研究所 情報基盤センター バイオインフォマティクス研究開発ユニットが発足
  • 2017年7月: 理化学研究所多細胞システム形成研究センター 1細胞オミックス研究ユニットがが発足
  • 2018年4月: バイオインフォマティクス研究開発ユニットと1細胞オミックス研究ユニットが、理化学研究所生命機能研究センターバイオインフォマティクス研究開発ユニットに統合