露崎さんのHeterogeneous Information Networkについての論文が採択

HeteroNAM’18/WSDM2018に、特別研究員の露崎弘毅さんの以下の論文が採択されました。

Koki Tsuyuzak and Itoshi Nikaido. Biological Systems as Heterogeneous Information Networks: A Mini-review and Perspectives. HeteroNAM’18. WSDM2018. 2018.

生命科学のデータは、ゲノム、RNA、タンパク質、表現型など様々な階層に渡り、複雑で多様なデータ構造を扱います。生命科学分野でのデータ解析では、これらのデータを統合的に解析する手法の確立が大きな課題となっています。一方、機械学習の分野では、Heterogeneous Information Network (HIN) という分野で、このような複雑なデータを統合的に解析する手法が発達しつつあります。

HINは、あらゆるデータを頂点(ノード)と枝(リンク)からなる「グラフ」と捉え、ノード同士の繋りを行列やテンソルとして表現します。これにより異なる種類のデータ同士を連結できます。このようなHINは、1. Prioritization、2. Missing-Link、3. Cross-Domain の解析ができるという良い性質があります。

本論文では、生命科学のデータ解析とHINについてのレビューと展望を述べました。まず、複雑で多様な生命科学データが、HIN として捉えられることを指摘しました。また、これまで生命科学でGuilt-By-Associationと呼ばれて活用されていた解析手法が、HINとして捉えられることを示し、これまでの手法との関連を網羅的に整理しました。さらに、生命科学分野でのHINによるデータ統合について、今後の展望を議論しました。特に、1細胞レベルでマルチオミックスが得られた際のデータ統合に利活用できるということを提言しました。

ConBio2017で5つの講演があります

2017年12月6-9日に神戸で行われる生命系学会合同年次大会(ConBio2017)では、我々のラボから、1つのシンポジウム、3つのワークショップにて講演があります。

0. 2017年12月6日(水) 09:00 〜 11:30 第1会場 (神戸ポートピアホテル 本館 地下1階 偕楽1)
[1AW01] いかにして「使える」データベースを維持し続けるか?
10:54 〜 11:12 [1AW01-6] データベースとデータ解析の融合 ~なぜデータベースは必要か~
〇露崎 弘毅1 (1.理研・情報基盤・バイオインフォ)

1. 2017年12月7日(木) 09:00 〜 11:30 第14会場 (神戸国際会議場 3階 国際会議室)
シンポジウム[2AS14] シングルセル解析が切り開く薬理学の新潮流
オーガナイザー:成田 年(星薬科大学)、オーガナイザー:山中 章弘(名古屋大学)
09:33 〜 10:01 [2AS14-2] RamDA-seq: あらゆるRNAの全長を1細胞レベルで検出するRNAシーケンス法
〇二階堂 愛1(1.理研・情セ・バイオインフォ)

2. 2017年12月8日(金) 09:00 〜 11:30 第5会場 (神戸ポートピアホテル 本館 地下1階 菊水)
ワークショップ[3AW05] 分子生物学的アプローチによる運動器研究の新展開
オーガナイザー:乾 雅史(明治大学)、オーガナイザー:早田 匡芳(筑波大学)
11:05 〜 11:25 [3AW05-7] 高出力1細胞トランスクリプトーム解析の展開と多細胞生物学
〇團野 宏樹1、笹川 洋平1、二階堂 愛1(1.理研・情報基盤・バイオインフォマティクス)

3. 2017年12月8日(金) 16:00 〜 18:30 第15会場 (神戸国際会議場 3階 レセプションホール)
[3PW15] ゆらぎが担う器官発生のしくみ
オーガナイザー:髙里 実(理化学研究所)、オーガナイザー:栗崎 晃(奈良先端科学技術大学院大学)
16:00 〜 16:25 [3PW15-1] 1細胞トータルRNAシーケンス法は、発生生物学の「ゆらぎ」解析にパラダイムシフトをもたらすのか?
〇林 哲太郎1、尾崎 遼1、笹川 洋平1、團野 宏樹1、梅田 茉奈1、二階堂 愛1(1.理研・ACCC・バイオインフォマティクスU)

共同研究者からの一般口頭発表もあります。

4. 2017年12月9日(土) 16:15 〜 17:45 第16会場 (神戸国際会議場 4階 401+402)
一般口頭発表 | 7. 発生・再生 | 発生・再生(一般口頭発表)
[4P2T16] 発生・再生 Ⅴ
座長:谷水 直樹(札幌医科大学)、座長:松井 貴輝(奈良先端科学技術大学院大学)
16:55 〜 17:05 [4P2T16-05(3P-0817)] 毛包幹細胞の起源と誘導メカニズムの解明
〇森田 梨津子1、三千 典子1、林 哲太郎2、梅田 茉奈2、芳村 美佳2、二階堂 愛2、阿部 高也3、清成 寛3,4、古田 泰秀3,4、藤原 裕展1(1.理化学研究所、2.理化学研究所、3.理化学研究所、4.理化学研究所)