阪大蛋白研の岡田眞里子さんらとの共同研究の論文が出版されました。
免疫B細胞が抗原暴露されると免疫関連遺伝子の遺伝子発現が急激に上昇し、我々の身体を守ります。これらの遺伝子はNF-kBという遺伝子で制御されます。今回の論文では、NF-kBによって急激に上昇する遺伝子の特徴を明らかにしました。またNF-kBは1細胞ごとに発現量に多様性があります。これにより様々な細胞環境に集団として素早く応答していると推測されます。この発現多様性が生み出される要因も明らかにしました。
急激な反応や発現多様性は、NF-kBの結合するエンハンサーの長さと事前にリクルートされているPU.1とNF-kBにより、多くのNF-kBが結合することと関連していました。これらは岡田先生が得意とする数理モデリングと我々の1細胞オミクスの技術を活用して明らかにされました。
NF-kBは悪いリンパ腫やがんの原因にも関わっています。この研究で利用されたオミクス解析や数理モデリングは、さまざまな疾患の分子機序の解明、マーカー遺伝子の同定、創薬に応用できると考えます。
我々はRamDA-seq (Hayashi T. et al. Nature Comm. 2018)による1細胞RNA-seqの実施を担当しました。また東大の鈴木穰先生らは1細胞ATAC-seqの実施を担当しました。阪大の岡田先生、粕川先生(RIKEN IMS)らは数理モデリング、オミクスデータの2次解析を担当しました。関係者のすべてのみなさま、おつかれさまでした。
日本語プレスリリース: 免疫の初期防御応答における閾値(いきち)機構の解明