第36回日本分子生物学会年会WSで1細胞RNA-Seqについて講演

ユニットリーダーの二階堂愛が第36回日本分子生物学会年会のワークショップで以下の発表を行いました。

幹細胞の分化制御機構から疾患メカニズムへ 〜生理・病態機能の試験管内再現に向けて〜
Chairs 八木田 和弘(京都府立医科大学), 堀江 恭二(奈良県立医科大学)

「1細胞RNA-Seqを用いた幹細胞の細胞状態ゆらぎの理解に向けて」
細胞集団のなかには、細胞によってmRNAやタンパク質量が不均質になる現象が知られている。このような細胞状態の不均質性(ゆらぎ)は、発生や細胞分化、リプログラミング、薬剤応答性など様々な現象との関連が示されつつある。細胞状態の不均質性がどこから生じるのか、また、様々な生命現象とどのように関わっているのか、を理解することで、生命らしい柔軟な細胞機能の理解に繋がるであろう。しかしながら、細胞集団のなかに、どのような細胞状態がどの程度存在するかを、正確に、網羅的に知ることは困難である。そこで、我々は、高い再現性と精度を誇る1細胞RNA-Seq法 Quartz-Seq を開発した。この方法は、既存の1細胞遺伝子発現測定法と比較し、2.7倍以上の遺伝子を検出し、実験の再現性を示す指標である相関係数は 0.93 を越える。さらに細胞の分化状態だけでなく、細胞周期のような小さな細胞状態の差をも検出できることを示した。本講演では、マウスES細胞を利用し、Quartz-Seqの性能を示し、細胞の不均質性がどこからやってくるのかを議論したい。

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