遺伝子が「密」になると働きが抑えられる

藤田医科大の石原さんらとの共同研究の論文が出版されました。ヌクレオソームを超遠心し複数の疎密の段階に分離し、そこに含まれるDNAをシーケンスする手法を開発しました。このデータとRNA-seqのデータ、RNAポリメラーゼ(RNAP)の結合度との関係を調べました。その結果、ヌクレオソームが密になるとRNAPが物理的に結合しにくくなり、周辺のRNAの転写量が下がる傾向がありました。

これまでヌクレオソームの化学修飾やヌクレオソームに巻き付いたDNAの酵素消化など間接的な方法で、ヌクレオソームと遺伝子の働きの強さを調べる研究が行われてきました。今回は、ヌクレオソームの疎密を物理的に分離して遺伝子の働きとの直接的な関係を網羅的に調べることに成功しました。

Satoru Ishihara*, Yohei Sasagawa, Takeru Kameda, Mana Umeda, Hayato Yamashita, Naoe Kotomura, Masayuki Abe, Yohei Shimono, Itoshi Nikaido*.
The local state of chromatin compaction at transcription start sites controls transcription levels. Nucleic Acid Research. gkab587. 07 July 2021.
(*co-corresponding author)

日本語のプレスリリースは以下です。

遺伝子の構造が「密」になると遺伝子の働きが抑制される ―遺伝子が巻き付いた円柱構造に着目して解明された遺伝子の働く強さの調節―